学校事故とは

ACCIDENT

学校事故とは

学校事故の正確な定義はありませんが、一般的には、学校教育活動に伴って発生した事故や災害、又は学校の施設・設備の使用に伴って発生した事故や災害であって生徒・学生に負傷・死亡等の被害を与えるものをいうと理解されています。

学校事故の類型

学校事故の類型としては人の行為に起因するものとして

1.教職員の行為に起因するもの(例えば,体育の授業中,生徒の能力を超える練習を行ったために生徒が負傷した場合)

2.生徒・学生の行為に起因するもの(例えば生徒同士の喧嘩)

3.学外協力者の行為に起因するもの(例えば部活動のコーチに移植されていた者の不注意で生徒が負傷した場合)及び

4.第三者の行為に起因するもの(例えば他校の生徒が教室に乱入して喧嘩になり生徒が負傷する場合)があります。

また、学校の施設・設備に起因するものとしては例えば、遊具が腐食していたために倒壊し生徒が負傷した場合があります。

学校事故に伴う学校の責任

行政上の救済

1.学校の管理下で生徒・学生の負傷・死亡等が生じた場合、学校に責任があったか否かにかかわらず、独立行政法人日本スポーツ振興センターによる災害共済給付制度による災害給付金が支払われます。

2.法的責任

給付金額を超えるだけの損害が生じた場合、損害賠償責任を追及することになります。

この場合,損害賠償責任が認められるのは、

1.教職員に故意・過失があり

2.それによって学校事故が生じた場合か又は学校の施設・設備に瑕疵がありそれによって学校事故が発生した場合のいずれかに限られます。

学校事故の責任を追及する法的根拠

学校事故の責任を追及する法的根拠は、

1.国公立学校の場合では国家賠償法1条

2.私立学校の場合には民法415条・09条・715条・717条等になります。

学校事故の判例を紹介

実際に発生した学校事故をいくつか紹介します。

部活動での事故

県立高校の硬式野球部部員であった生徒が、シートノックの練習中に、守備位置に戻ろうとしたところ、ノックした打球が右後頭部を直撃し、急性硬膜下血腫等の障害を負った事故において、教師の安全配慮義務違反があったと認定した判例があります(徳島地判平成26年3月24日)。

この判例では、教師が具体的に生徒の怪我を予見することが出来たか、注意義務を怠ったといえるかが争点になりました。また、生徒にも一部過失があったとし、1割の過失相殺が認められております。

授業中の事故

公立小学校6年生の授業中に児童Aが手に持って振った鉛筆が別の児童Bの目に刺さった事故において、児童Aの両親に、民法714条の責任が認められた一方で、学校に対する国家賠償請求は否定された判例があります(千葉地判平成24年11月16日)。

この判例では、児童Aの加害行為が、わずか10秒足らずであったこと、物音も立っていなかったことから、教師がこの加害行為を未然に防ぐことは不可能であったとして学校および教師の過失は否定されております。

休み時間の事故

中学1年生であるAが休み時間に、高さ155センチメートルの掲揚台が落下して死亡した事故について、私立学校および担任の教師に対して損害賠償請求が認められた判例があります(水戸地判平成24年2月10日)。

この事案では、掲揚台に柵を設置するなどの事故防止措置をとらなかったとして学校に対する不法行為責任が認められました。